2023年2月11日 市役所移転ノ-・大型開発問題を考える会(略考える会)
ゼネコン主導の大型開発に声を上げる市民
早いもので、2018年12月12日市駅周辺・新庁舎を考える12.12市民の願い生きる「まちづくり」シンポジウムを開催してから4年が経過しました。
2018年6月18日午前7時58分に大阪北部地震が発生し約1300件の建物被害が報告報されました。7月5日から6日にかけて7月豪雨が発生という自然災害の被害を受けました。このよう中でも枚方市は市駅周辺再整備ビジョンを加速させました。
この再整備ビジョンで市は「枚方市駅周辺再整備ビジョンに基づく将来イメージ」にあるとおり、開発区域を全部で5つの⑤街区に分けて連鎖型のまちづくりを進める。まず市駅周辺の③街区事業を進めました。③街区の北に位置する京街道が通る枚方新町の住民がこの開発に反対や様々な要望があり「市民本位の市駅周辺・新市庁舎考える会」(以下、考える会)は、都市計画決定に対して意見公述や大阪府・枚方市に住民が納得しない中での開発を進めないように要望するなど運動を進めました。
ここでの問題点は開発有りき、期限有りきで住民合意を得ずに進めること。特に商業施設を含む再開発ビルからの車の導線の安全対策、一級河川である天の川の土手を削っての道路建設がありました。開発後に住民が使用する生活道路の安全確保などについて粘り強く市と市街地再開発組合と話し合いを進め、一定の改善をさせました。しかし根本的な道路問題は平行線のまま計画が進められてしまいました。
市は④⑤街区事業を具体化するため、アドバイザーとして民間事業者を公募し、学識経験者等で構成する選定審査会によって優秀者に選定された4事業者と3月15日に協定を締結し民間アドバイザーからの意見をふまえた都市機能と土地利用の方向性の検討案として「枚方市駅周辺再整備基本計画(草案)」、「枚方市新庁舎整備基本構想(草案)」を2018(平成30)年9月19日、20日の29日の市議会全員協議会に報告しました。
その内容は①新庁舎位置は⑤街区(現府民センター付近)に税務署と合築で建設する。②民間事業者が開発する③街区(枚方市駅周辺)に公共施設の再編として市民窓口、子ども総合相談センター、保健センターの検診機能、サンプラザ市民学習センター、図書館機能を集約する。③現市役所・大ホール・市民会館付近の④街区には、商業施設5棟と56階建て、高さ200mの超高層タワーマンション(約700戸)と30階建ての高層マンション(約300戸)を建設するというものでした。
大型開発が具体化される中で考える会としてまちづくりについての学習をしていこうと奈良女子大学の中山徹先生を招いて「12.12市民の願い生きる『まちづくり』シンポジウ」を開催しました。そして一斉地方選挙が終わった5月18日には考える会・新町住民有志の会主催の「京街道を守り、市駅周辺の都市計画(再開発)を考えるシンポジュウム)を開催して60名が参加しました。
考える会と連携し運動をすすめている共産市党市会議員団(以下、市議団)は、この草案に対して「市有地にタワーマンションはいらない」と全戸ビラを発行し、全市的に大きな話題になりました。その後に開催された市議会全員協議会では、各会派から拙速な進め方に批判が集まり、①地震・台風被害で市民が苦しみ、災害対策を講ずるべき時に大型開発に税金の投入をすることに納得できない。②駅から倍以上遠くなる⑤街区に市役所を建設するのは市民にとって甚だ不便となる。③市有地である④街区(現市役所・岡東公園・市民会館周辺)に民間アドバイザーであるゼネコン、デベロッパー(エヌ・ティ・ティ都市開発、竹中工務店、大和ハウス)の提案で56階建て、高さ200mの超高層マンション(700戸)、30階建てマンション(300戸)を建設することに市民の理解は得られない。市民に丁寧な説明と市民的議論のもとで十分検討することを求める意見などが多く出され、市は計画を1年先延ばせざるを得なくなりました。
コロナ禍で加速する市民不在の大型開発
2020年12月4日、全員協議会が開催され「枚方市駅周辺再整備の具体化に向けた検討」として素案が発表されましたが、市民の財産である市有地(現市民会館・大ホール跡地)を民間に売却、市庁舎は今より倍ほど遠くになる府民センター跡地に建設、財源確保で巨額の市民負担を押し付けるという基本姿勢は素案と全く変わっていませんでした。
事業の進め方は、④⑤街区の事業手法としては、道路などのインフラの整備とあわせて事業の検討段階から関係機関や民間の創意工夫を活用することが可能であることや、財政状況や街区内の地権者の個別事情などに柔軟に対応できる土地区画整理事業による基盤整備を進める。つまり公共事業としてさらなる税金投入するものでした。議会ではコロナ禍の中では規模を縮小して新庁舎建設だけにするべき。全街区を含めた事業期間は概ね17年先を想定しているにもかかわらず、財政シミュレーションは令和13年度までしか示されず、全事業をやり切る財政見通しがないことなどから事業の見直しを求めました。
学習を力に署名運動に取り組む
新型コロナウィルス感染症が拡大する中で市は一気に事業を進め始めました。2021年3月に枚方市駅周辺再整備基本計画を策定しました。この計画策定時においてもコロナ禍を理由に市民説明会を開催しませんでした。その一方で公立保育所民営化などについては説明会を開催して強引に進めました。このやり方は市民から大きな批判を受けました。
考える会では毎週事務局会議を持ちながら、運動を進めようとしましたが、コロナ禍でシンポジウムを中止せざる負えない、対話もままならない中で署名運動を進められないという状況の中でも「市民不在の大型開発(市駅・新庁舎)ストップの緊急署名」に取り組み、オンライン学習会を取り組みました。
5月9に市議団主催でオンライン学習会さん森博之(立命館大学教授)さんを講師に「どうなっている? 枚方市の財政 ~大型開発の暮らしへの影響~」
6月6日に遠藤哲人(区画整理・再開発対策全国連絡会議 事務局長)を講師に「ストップ大型開発 オンライン学習会 全国の再開発から考える枚方市駅周辺再整備基本計画・枚方市新庁舎整備基本構想」を開催しました。
また各団体は出前講座で市の担当者を招いて枚方市駅周辺再整備事業について学習会を開催するなど各団体で工夫しながら運動を進めました。
コロナ禍が収束しない中でどのように運動を進めたらいいのか、事務局で話し合いを進めました。市民は市駅周辺が賑やかになることは歓迎しているという中で市民にわかりやすい運動を進めていくためにはどうしたらいいのか、事務局会議の中で話を何度も繰り返し、団体名も「市役所移転ノー・大型開発問題を考える連絡会」とし、署名についても「市役所周辺大型開発の中止を求める要望書」として、要望事項を「市役所周辺大型開発を中止し、市庁舎は現在の④街区から移転しないで、市民会館大ホール跡に建て替えてください」としました
市役所移転条例否決、市民の声が良識ある市議に届いた
運動が追いついていけていない中で9月定例月議会に上程される可能性が高いという情報が流れる中で、そして上程日前の1週間は毎日市役所周辺で宣伝行動を展開しました。誰もが可決を予想する中で、9月26日に市役所の位置に関する条例の一部改正案が議会で提案されました。庁舎の移転は地方自治法第4条に規定される特別多数議決が実施され、可決に必要な20議席に達せず、賛成が18,反対が12という結果で条例は否決されました。この瞬間、議場は一瞬静まり、傍聴席からどよめきが起きました。議場から出ると多くの市民が駆け寄ってきて「良かったね」「やったね」という声をかけてくれて、喜びをわかちあいました。
これは市政運営に対する不満と批判があらわれた結果です。コロナ禍にもかかわらず一方的に市民説明会も開催せずに、子どもや高齢者を犠牲にして大型開発の財源づくりに拍車をかける市役所移転に議会がノーを突きつけ50年ぶりに市長提案議案が否決される結果となりました。
否決にさせた要因は、何といっても説明会を開催せよと何回も求めたのに対して、全く聞く耳を持たず強引に進めたことです。今となっては、説明会を開催すれば反対が圧倒的多数であるとわかっていたからだと思います。
余りにも民間言いなりということです。民間アドバイザーからの意見をもとに「草案」を作り、地上56階建て高さ200メートルのタワーマンションができる計画を発表し、次は今年6月に4,5街区の賑わい創出につながるアイデアなどについて、広く民間事業者から提案を受け、事業の実現性などを整理・確認するサウンディング型市場調査を実施し、⑤街区の市役所に5000人収容の工事費90億円のアリーナを合築する案を提案しました。これには議会から疑問と驚きの声が多く出されました。つまりゼネコン、デベロッパーの案が2回とも市民にノーの審判出たことになります。
市は④⑤街区の環境アセスメント費用を補正予算で可決し市役所移転、大型開発をあきらめていません。都市計画手続きを進めようとしています。2023年1月16日には④⑤街区の地権者に対し市役所移転を前提にした内容の学習会を開催しています。
新しい幅広い市民運動の始まり
2022年12月4日の市議団の学習会に新建築家技術者集団大阪支部(略 新建)から講師が見え勉強しました。これを契機に今回の2.11学習会が幅広い形で専門家集団の協力を得て開催されるになりました。枚方市民の会、考える会、新婦人枚方支部の呼びかけと全面的なご協力を頂いている新建の皆さんの力で運動を発展させたいと思います。
4月23日投票の枚方市会議員選挙では市役所移転問題を大きな争点に押し上げ、移転反対の勢力が12名以上市議会で確保できれば市役所移転はストップさせることができます。考える会は市役所移転反対の一点で各団体と協力しリスペクトの立場で幅広い運動をすすめたいと思っています。ともに頑張りましょう。